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8. 既存の Tower インストールのアップグレード

既存の Tower インストールは最新バージョンに簡単にアップグレードできます。Tower は既存の設定ファイルを検索し、インストールではなくアップグレードが必要なタイミングを認識します。

インストールの場合と同様、アップグレードプロセスでは Tower サーバーがインターネットにアクセスできる必要があります。アップグレードのプロセスには、Tower のインストールとほぼ同様の時間がかかり、さらにデータ移行にも時間がかかります。

このアップグレード手順では、Ansible および Tower の作業用インストールがあることを前提としています。

注釈

アップグレードの一環として、埋め込みデータベース Tower をクラスター化したインストールに変換することはできません。クラスター化設定に Tower をデプロイするユーザーは、Tower データベースのバックアップを作成し、別の仮想マシンまたは物理ホストに新しいクラスター設定をインストールし、データベースを復元できます。インスタンスが外部データベースで動作している場合は、そのインスタンスを Tower に後で追加することができます。Ansible Tower Administration Guide の「Clustering」の章を参照してください。

Tower が RHEL 7 以前のバージョンにインストールされており、RHEL 8 で Ansible Tower をアップグレードする場合には、以下の手順に従ってください。

  1. RHEL 7 での「Ansible Automation Platform インストールプログラムの取得」および Ansible Tower 3.8 へのアップグレード

  2. Tower 設定の Playbook に含まれている Tower のリストアを実行します。詳細については、Ansible Tower Administration Guide の「Backing Up and Restoring Tower」を参照してください。

  3. Ansible Automation Platform インストールプログラムの取得」を参照し、RHEL 8 に新しいバージョンの Ansible Tower 3.8 をインストールします

  4. Tower 設定の Playbook に含まれている Tower のリストアを実行します。詳細は、Ansible Tower Administration Guide の「Backing Up and Restoring Tower」を参照してください。

このプロセスでは、データベースが組み込まれている Tower をアップグレードする場合に、PostgreSQL データベースが最新バージョンに正しく移行されるようにします。Ansible Automation Platform インストールのサイズに応じて、これには時間がかかる場合があります。外部データベースを使用する Tower をアップグレードする場合には、クライアントライブラリーもアップグレードされますが、外部の PostgreSQL サーバーを手動でアップグレードする必要があります。アップグレードを行う前に、リリースノートで、上記が該当するかどうかを確認するようにしてください。

Tower のアップグレードに失敗した場合や、サポートが必要な場合には、Red Hat カスタマーポータル (https://access.redhat.com/) から Ansible までお問い合わせください。

8.1. 要件

Tower インストールをアップグレードする前に、「要件」を参照して十分なディスク領域およびメモリーがあることを確認し、ソフトウェアの要件を確認してください。たとえば、アップグレードを実行する前に Ansible の最新安定版をインストールしておく必要があります。

注釈

3 つ以上先のメジャーバージョンに対して、アップグレードはできません。たとえば、Ansible Tower 3.6.x にアップグレードする場合、3.3.x から直接アップグレードできないので、まず 3.4.x にアップグレードする必要があります。カスタマーポータルから「recommended upgrade path article」を参照してください。

また、RHEL 8 で Ansible Tower 3.8 を実行するには、Ansible 2.9 以降もインストールされている必要があります。

Satellite からのサブスクリプションは、サブスクリプションへのアクセス権を持つ Satellite ユーザー名とパスワードを提供することにより、Tower インスタンスに適用できます。これを利用するには、Tower 3.8.x にアップグレードする*前*に Katello RPM をインストールして、Tower ノードを Satellite に登録する必要があります。詳細は「Tower への Satellite インスタンスのインストール」を参照してください。

8.2. Tower のインストール環境のバックアップ

システムをアップグレードする前にバックアップを作成することをお勧めします。バックアッププロセスが完了したら、OS/Ansible/Tower アップグレードに進みます。

Ansible Tower Administration Guide』の「Backing Up and Restoring Tower」を参照してください。

8.3. 設定用の Playbook

Tower の設定 Playbook のスクリプトでは inventory ファイルが使用され、Tower インストーラーの tarball を展開したパスから ./setup.sh として呼び出されます。

root@localhost:~$ ./setup.sh

設定スクリプトでは以下の引数を指定できます。

  • -h: ヘルプメッセージを表示して終了します。

  • -i INVENTORY_FILE: Ansible インベントリーファイルへのパス (デフォルト値: inventory)

  • -e EXTRA_VARS: 追加の Ansible 変数を key=value または YAML/JSON (つまり -e bundle_install=false は強制的にオンラインインストールを実行します) として設定します。

  • -b: インストールの代わりにデータベースのバックアップを実行します。

  • -r: インストールの代わりにデータベースの復元を実行します (以下のコード例に記載されているように、EXTRA_VARS でデフォルト以外のパスを指定しない限り、デフォルトの復元パスが使用されます)。

./setup.sh -e 'restore_backup_file=/path/to/nondefault/location' -r