Documentation

8. OpenShift のデプロイメントおよび設定

Ansible Tower 3.3 では OpenShift 上でのコンテナーベースのクラスター実行をサポートするようになりました。このセクションでは、特に以下の内容を含めて、OpenShift と Tower Pod 設定について概説します。

  • 標準の Tower vs OpenShift Tower (インスタンスの自動削除) の主な相違点

  • Tower は先に単一の Pod をデプロイしてから移行後にスケールアップできること

  • 移行はタスクランナー Pod で実行されること

_images/clusters-task-runner-pod-diagram.png

8.1. Tower と OpenShift の基本情報

Tower OpenShift ドキュメントは、管理者レベルでの OpenShift の使用方法を理解し、コンテナーベースのインフラストラクチャーの管理経験があることを前提としています。Tower と OpenShift の相違点は以下のとおりです。

  • スタンドアロンの Tower と OpenShift Tower では、使用するインストーラーが異なります。

  • Tower (RabbitMQ 経由) は、Playbook を手動で実行したり (新規ノードを起動)、Shell で管理コマンドを実行 (意図的にノードをオフラインにする) したりせずに、スケールアップやスケールダウンを容易に行えるように、OpenShift と連携しています。システムが一旦稼働すると、Tower StatefulSet を設定して、追加の Tower Pod を追加したり、削除できます。

  • Tower Pod は、HTTP なしに設定され、インストーラーで、全 Tower Pod へのSSL の中断および分散要求を処理する OpenShift Route を設定します。これは、OpenShift ロードバランサーに似ています。

  • データベースの移行は、タスクエグゼキューターのコンテナーを Pod 内に起動するプロセスの一部として実行されるので、Playbook が完了してから実行される可能性が高いです。

  • キャパシティー/パフォーマンスの検出 (リソース要求および要求プランのセクション参照)

8.2. 設定オプション

要件

  • OpenShift 3.6+

  • Pod ごとのデフォルトのリソース要件
    • メモリー 6GB

    • CPU コア 3 個

  • インストーラーを実行するマシンに設定した Openshift コマンドラインツール (oc)

  • 設定済みおよび実行中の OpenShift クラスター

  • OpenShift インストーラーを実行するアカウントの管理者権限 (cluster-admin ロールが必要です)

8.3. 基本設定

OpenShift インストールでは、以下のパラメーターを設定する必要があります。

  • openshift_host

  • openshift_project

  • openshift_user

  • openshift_password

  • admin_password

  • secret_key

  • pg_username

  • pg_password

  • rabbitmq_password

  • rabbitmq_erlang_cookie

プロジェクトが存在しない場合には作成されますが、プロジェクトのユーザーには以下が必要です。

  • プロジェクトを作成して、Tower が必要とする Pod を使用してデータを投入する機能

または

  • プロジェクトが存在する場合には、プロジェクトで必要な Pod を作成する権限

パスワードは、インストーラーを実行時に示されるようにコマンドで指定する必要があります。

oc コマンドラインのクライアントをインストールして利用できるようにし、クライアントのバージョンとサーバーのバージョンが一致するようにしてください。

シークレットキー、管理者パスワード、postgresql のユーザー名とパスワードは、インストーラーを実行する前にインベントリーファイルに事前に設定しておく必要があります。

./setup_openshift.sh -e openshift_password=$OPENSHIFT_PASSWORD -- -v

注釈

Tower は、(比較的) 権限のない awx ユーザーに、Ansible プロセスをそれぞれ分離する機能を提供するメカニズムとして、(Project Atomic からの) Bubblewrap を使用します。権限ありのモードで、Tower Web およびタスクコンテナーを実行する必要のあるコンテナーに付与する必要のある権限がいくつかあります。

8.4. リソース要求および要求プラン

通常、Tower は、ジョブの実行や、バックグラウンドの要求実行に必要なキャパシティーを判断するために、Tower が稼働するシステムを検証します。OpenShift では、Pod とコンテナーがシステムで共存する傾向にあるため、仕組みが異なります。Pod は、現在の状況 (たとえば、OpenShift クラスターがアップグレードされる場合や、停止している場合) によってホスト間で移行することも可能です。

Pod とコンテナーが必要なリソースを要求するのは一般的です。OpenShift がこの情報を使用して、どこで何を実行するか (または実行できるか) を決定します。

Tower は、この情報を使用して、個別のジョブを実行可能な数 (およびサイズ) に合わせて、独自のキャパシティーを設定します。

Tower Pod はそれぞれコンテナー 4 個で形成されます (「 diagram 」参照)。各コンテナーは、標準のデフォルト値で設定されますが、すべてを統合するとかなり大きくなる可能性があります。これらのデフォルト値は設定可能ですが、Tower クラスターに与える影響を把握しておくと便利です。

最も重要な値は、タスク実行コンテナーの CPU とメモリー割り当ての 2 つです。このコンテナーが、実際にジョブの起動を担当するので、これらの値が実行可能なジョブ数やサイズを直接制御します。これらの設定は、インベントリーで変更できます。以下にデフォルト値を紹介します。

task_cpu_request=1500

これは、専用に割り当てる CPU の数量です。1500 の値は、OpenShift 自体が CPU の要求をどのように評価するか (https://docs.OpenShift.com/container-platform/3.9/dev_guide/compute_resources.html#dev-cpu-requests 参照) を指します。値の意味は「https://docs.OpenShift.com/container-platform/3.9/dev_guide/compute_resources.html#dev-compute-resources 」を参照してください。

1500 は 1500 ミリコアで、CPU コア約 1.5 個になります。

この値は以下の方法で Tower のキャパシティーを設定するのに使用します。

((task_cpu_request/ 1000) * 4)

つまり、デフォルトでは OpenShift の Tower (CPU ベースのアルゴリズムですべて設定された場合) は、同時に最大 6 個のフォークで実行可能です。

調節が可能な他の値:

task_mem_request=2 - This is the amount of memory to dedicate (in gigabytes).

この値は以下の方法で Tower のキャパシティーを設定するのに使用します。

((task_mem_request * 1024) / 100)

つまり、メモリーベースのアルゴリズムで設定されている場合には、デフォルトで Tower は同時に最大 40 個のフォークで稼働できます。

デフォルトのリソース要求については、「roles/kubernetes/defaults/main.yml」を参照してください。

合計で、単一の Tower Pod 向けの要求リソースはデフォルトで以下のようになります。

  • CPU コア 3 個

  • メモリー 6 GB

Tower を実行する OpenShift インストーラーは、最低でも上記に一致する必要があります。デフォルト値を変更した場合は、新しい要件に合わせてシステムを更新する必要があります。

注釈

OpenShift インストーラーで他の Pod を実行しているか、システムが小さすぎてこれらの要件を満たせない場合には、どこからも Tower を実行できません。詳細は、「Capacity Algorithm」を参照してください。

8.5. データベースの設定および用途

OpenShift で実行する Tower に Tower PostgreSQL データベースを設定する方法は 2 種類あります。

  • (推奨) 外部管理のデータベース (Tower の設定 Playbook でインストールしていない)。PostgreSQL サーバーは、Openshift クラスター内外を問わず Tower をインストールする前にインストールしてから、このサーバーを参照するように Tower を設定するようにしてください。

  • PostgreSQL は、事前に作成した PersistentVolumeClaim を指定し、これに Tower のインストール Playbook のインベントリーファイルを pg_pvc_name として指定して、Tower インストーラーで OpenShift にインストールします。

Tower をデモ/評価目的でインストールする場合には、openshift_pg_emptydir=true を設定してください。これにより、OpenShift は Pod が使用できるように一時ボリュームを作成します。

警告

このボリュームは、デモ/評価目的のみの一時的なもので、Pod が停止されると削除されます。

8.6. バックアップとリストア

アップグレード前に同じバージョンでバックアップして復元する必要があります。バックアップと復元のプロセスは、従来の Tower のプロセスに似ています。インストーラーディレクトリーの Root から以下を実行します。

./setup_openshift.sh -b # Backup
./setup_openshift.sh -r # Restore

注釈

configmap は、インベントリーファイルの値から再作成されます。インベントリーファイルは、バックアップの tarball に含まれています。

8.7. アップグレード

アップグレード実行前に、同じバージョンでバックアップして復元する必要があります。OpenShift での Tower デプロイメントをアップグレードするには、http://releases.ansible.com/ansible-tower/setup_openshift から最新のインストーラーをダウンロードします。従来の Tower のインストールと同様に、ダウンタイムが予想されます。

8.8. 移行

Tower は、以下の説明のように従来の設定から OpenShift の設定への移行をサポートします。

  1. まず、通常のアップグレード手順を使用して、従来の Tower 設定を Ansible Tower の最新バージョン (または、最低でもバージョン 3.3 ) にアップグレードします。

  2. OpenShift インストーラーをダウンロードします。

  3. inventory ファイルを編集し、従来の Tower 設定から、アップグレードした Tower のデータベースを参照するように、 pg_usernamepg_passwordpg_database および pg_port を変更します。

  4. 通常通りに OpenShift インストーラーを実行します。

8.9. カスタムの仮想環境の構築

ベースのコンテナーイメージを上書きして、カスタムの仮想環境 (virtualenvs) を構築することができます。カスタマイズまたはカスタムの virtualen か、ローカルのミラーリングには、ベースのコンテナーの上書きを使用します。OpenShift にデプロイされた Tower で、カスタムの仮想環境を使用する場合には、Tower で使用するコンテナーイメージをカスタマイズする必要があります。

例として使用可能な Dockerfile を紹介します。これは、Ansible 2.3 をカスタムの仮想環境にインストールします。

FROM registry.access.redhat.com/ansible-tower/ansible-tower:3.3.0
USER root
RUN mkdir -p /var/lib/awx/venv/ansible2.3
RUN virtualenv --system-site-packages /var/lib/awx/venv/ansible2.3
RUN cp -a /var/lib/awx/venv/ansible/lib64/python2.7/site-packages/* /var/lib/awx/venv/ansible2.3/lib64/python2.7/site-packages/
RUN sh -c ". /var/lib/awx/venv/ansible2.3/bin/activate ; pip install ansible==2.3.3.0"

他の python の依存関係 (カスタムモジュール用など) をインストールする必要がある場合には、仮想環境をアクティベートする Docker ファイルに RUN コマンドを追加して、pip を呼び出してください。

イメージが構築されたら、そのイメージがレジストリー内にあり、OpenShift クラスターとインストーラーからアクセスできることを確認します。

OpenShift インストーラーの group_vars/all の以下の変数を上書きして、レジストリーにプッシュしたイメージを参照するようにします。

kubernetes_web_image: registry.example.com/my-custom-tower
kubernetes_task_image: registry.example.com/my-custom-tower

注釈

イメージには 3.3.0 のタグを付けるか、上書きするバージョン変数をインストーラーに渡します。

オフラインのインストールなど、ローカルレジストリーで全イメージをホストする場合は、以下のような他のイメージを追加する必要があります。

kubernetes_rabbitmq_image: registry.example.com/ansible-tower-messaging
kubernetes_memcached_image: registry.example.com/ansible-tower-memcached

vanilla Red Hat イメージをミラーリングする場合:

kubernetes_web_image: registry.example.com/ansible-tower
kubernetes_task_image: registry.example.com/ansible-tower